介護

親の介護でお金をもらう=「ズルい」が生む心の重荷と、それを軽くする方法とは

「親の介護でお金もらうのって、ズルいと思われるんじゃないか…」
そんなふうに悩んでいませんか?

親の介護が必要になったとき、実際に動くのは“子ども”の誰か1人になることが多いものです。

でも、いざ親の介護にかかる費用や時間が増えてくると、「お金もらうことに後ろめたさがある」「兄弟に何か言われそうで不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「親の介護でお金もらう」ことがなぜ“ズルい”と誤解されやすいのか、そしてその心の重荷を軽くするための考え方と具体的な対策をご紹介します。

親の介護でお金もらうことは、決して悪いことではありません。

けれど、親の介護とお金もらうことが感情的な問題と結びついてしまうと、家族間の関係にひずみが生まれることもあります。

あなたが少しでも安心して介護を続けられるように、この記事では「親の介護」「お金もらう」にまつわるモヤモヤを丁寧にほどいていきます。

どうか、最後まで読んでみてください。

「ズルい」と言われがちなケースと、実際のトラブル事例

実際に多いのが、こんなトラブルです。

  • 兄弟に相談せずに親の通帳から介護費用を引き出していた →「勝手に使った」と疑われた

  • お金をもらって介護していたが、相続の場面で「報酬をもらってたんだから」と発言されて不公平感が広がった

  • 通帳や印鑑を預かっていたことが「使い込み」と誤解され、家族関係にヒビが入った

こうしたトラブルの背景には、**「親の介護でお金をもらう=ズルい、得している」**という思い込みがあります。
けれど、それは本当に“ズルい”ことでしょうか?

もらっていい!介護にかかる実費と時間的コスト

親の介護に関わると、実際にはさまざまな負担があります。

  • 交通費(通院や買い物の送迎)

  • 介護用品の購入費(おむつ、食事、衛生用品など)

  • 時間的な拘束(週に数時間〜十数時間)

  • 自分の仕事や家庭の犠牲

介護は単なる「家族の手伝い」ではなく、立派な労働です。
それに対して報酬や援助を受けるのは、何も悪いことではありません。

揉めないための対策3選

正当な対価でも、誤解されないためには“可視化”と“共有”が大切です。

① お金の使い道を記録する

  • 介護用品や通院費など、使った金額・日付・用途をメモ

  • 領収書は封筒にまとめておく

  • Excelや家計簿アプリでもOK

📌  「誰が見てもわかる記録」を残しておくことが信頼につながります。

② 兄弟とこまめに共有する

  • LINEグループなどで「今月3万円、親のお金から支出しました」と報告

  • 特に大きな出費(ベッド購入、施設入居費など)は事前に共有

📌 「言ってなかったから揉める」を防ぎましょう。

③ 書面・LINEなどで証拠を残す

  • 親が元気なら「介護費用に使っていいよ」と一筆書いてもらう

  • 兄弟との話し合いを記録(メモ or LINEスクショ)

📌 あとから「そんなこと聞いてない」と言われない工夫です。

介護に対する報酬が当たり前になる社会へ

近年は、「介護は無償で当然」という考え方に対して、見直しの声も増えています。

例えば、特別寄与料制度(2019年改正民法)では、家族の中で特別に介護を担った人が、相続時に金銭的評価を求めることができるようになりました。

✅ そもそも「寄与(きよ)」とは?

「誰かのためにがんばって手伝ったり、力を貸したりすること」
です。

たとえば、親が病気になったときに、長い間介護をしたり、生活の手伝いをしたりすることも「寄与」です。

✅ 今まではどうだったの?
昔は、相続で介護をしてきた人も

何もしなかった兄弟も
同じように財産を分けるのが当たり前でした。

だから、こんな声がたくさんありました。

「私が10年間、毎日介護してきたのに、兄は一円も出さず何もしなかった…」
「でも相続では半分ずつ。納得いかない!」

✅ それを変えるための制度が「特別寄与料制度」

2019年に法律が変わって、
「家族の中で特に介護などをしてきた人は、お金でも評価してもらえる」というしくみができました。

 『 特別寄与料制度 』

◎項目 内容

いつ使える? 親(または祖父母など)が亡くなって、相続の話が出たとき

だれが対象? 相続人以外の人(例:お嫁さん、お婿さん、遠方に住む親族など)

なにを主張できる? 「私は介護などをしてきたから、お金をもらう権利がある」と言える

どのくらいもらえる? 介護などをしてきた内容に応じて金額が決まる(相続人との話し合いや調停)

◎ どんなときに使うの?

たとえば:

10年間、義母(夫のお母さん)を介護してきたお嫁さん

介護のために仕事を減らして、生活を支えてきた娘

施設の手続きや金銭管理など、実務をすべて引き受けた親族

そんな人たちが、

「私はちゃんと貢献したから、特別寄与料として〇〇万円ください」
と相続の場で言える制度です。

◎ ただし注意点も

相続人(たとえば兄弟)と話し合いで合意することが必要

合意できない場合は、家庭裁判所に「調停(ちょうてい)」という手続きをする

◎ まとめ

「介護してきた人が、“何もしてない人と同じ”にならないようにするための新しいルール」です。

つまり、社会も少しずつ「介護=ただ働きではない」という方向にシフトしています。

まとめ:正当な報酬は“ズルくない”

親の介護でお金もらうことは、ズルいことでも、後ろめたいことでもありません。
ただし、「どう使ったか」「誰と共有しているか」の工夫がなければ、誤解やトラブルになるリスクはゼロではありません。

だからこそ、

  • 記録を残す

  • 家族に共有する

  • 書面やLINEでやり取りを残す

この3つの行動が、あなたの心と家族関係を守ってくれます。

親の介護は、あなたひとりの責任ではありません。
安心して支援を受け取れるように、少しずつ“見える化”していきましょう。